2022年05月
杠(ゆずりは)
白山吹
裏庭に、上品な白い花が御座る。
一輪の小さな花が、そこここに!!
葉っぱも結構、上品じゃ。
何で、こんな裏庭に有るのじゃ??
上品じゃて、お客様に見せたらよいのに??
人が来ない、裏庭の柿の木の下で、
また、漆小屋の横に植えてあるのじゃ??
「 それはなあ、前の和尚が好きでなあ・・」
「 裏手では有るが、
ひっそりと咲いているのが好きだったのじゃ・・」
「 何でもそうじゃが、
隠れて咲くことで光ることもある・・」
「 人の社会でも、人の目に付かないところで、
黙々と仕事に精を出して御座る方が居る・・」
「 何の能力もないのに、
人前に出るのが好きな輩も多い・・」
「
単に居るだけなのに、
人に認めてもらっていると、満足感を充足する輩も・・」
「 本来は認めてもらうと言うことは、
黙ってすることはすることじゃが、勘違いする・・」
和尚、もしかして狸の儂の事を言っとるのか??
狸の儂は、人間社会によく出とるからか??
「 いやいや、狸殿は、
儂をいつも助けてくれておるから、感謝!感謝!・・」
うむ、それならば納得じゃ!!!
小手毬
和尚が造っておる裏の花道に白い花が咲いておる。
この前は、沈丁花の三姉妹が白い花を付けていたが、
もう、花は散って枝を伸ばし始めた。
その横に、何や、小さい花の塊が、
毬の半分の大きさでかたまっておる。
和尚、この半球の花は何じゃ??
「 これはなあ、小手毬と言う花じゃ・・」
「 これに対し、大手毬と言うのも有る・・」
手毬やと、蹴ってもええんかいなあ??
「
阿保か、蹴ったら枯れるがなあ・・」
「
球体の様に丸いので、
手毬と名付けられてるのじゃ・・」
「 名付けるのは、同一の形をしてなくても、
よく似ていればその名前を借りるのじゃ・・」
「 狸のお主も、人間の様じゃて、
“ お人狸 “と名付けようか・・」
いやいや、“ 狸殿 ”で結構。
『 殿 』が付いとるからのう!!!