「 狸殿、この前はご苦労さんじゃった・・」

 「 高木に登って、よう枝が切れたのう・・」

 

 「 人間の儂でも、登るのに“よいしょ”じゃが・・」

 「 和尚の儂に化けたと言っても、

よう登れたのう・・」

 

 そうじゃろう、大したものじゃろう!! 

 何時もの化け方は、椿の葉っぱ3枚じゃ!!

 

狸独り言 人間の手椿3枚 (1)




 これじゃと、特に何も考えんでもいいのじゃが。

 じゃが今回は、高い木に登らないかんので、

大いに考えたわな!!

 

「 そうじゃろうなあ・・」

「 儂でも、高い木に登る時は、

緊張して気合を入れるわなあ・・」

 

 そこで狸の儂が木に登るので、

途中で狸に戻ると命に係わる!!

 一番の問題は、足と手の指の問題じゃ!!

 

狸独り言 人間の手八つ手 (3)



 そこで椿の代わりに “ 八つ手 ”を使ったのじゃ!!

 八つ手じゃと、手足の指が5本と言わず多いので、

枝を握るのにもってこいじゃと、八つ手にした!!

 

 「 さよか、それで器用に登ったのじゃなあ・・」

 「 “豚でも煽てりゃ木に登る”と言うが、

狸殿は、頭を使って木に登ったのじゃなあ・・」

 

狸木に登る (6)



 和尚、豚より格上げになったか!!

 

 「 いやいや、元々狸殿の格は極上じゃ・・」

 「 和尚の儂と変わらんぞ・・」

 「 大したものじゃ・・」

 「 八つ手を使うことを考え出すことが、

大したものじゃ・・」

 

 それでなあ、和尚に化けて思ったが、

人間として、手と足が有れば最高じゃ!!

 

最近の人間は文句が多い、

五体満足であれば、最高じゃと思うのじゃが!!

 

 「 そうじゃ、大学や会社や、お金や地位や、

色々なものを欲しがる・・」

 「 健康であれば、満足すればよいはすじゃ・・」

 

 「 言葉に“知足”と言うのが有る・・」

 

 「 “ 足(た)るを知る ” と言うが、

「 自分が少しの事で満ち足りておると感じると,

不満は解消する・・」

 

 「 狸殿は、和尚の儂に化けることで、

         五体満足を理解したのじゃなあ・・」

 「 “ 知足 ” を知ったことは、

                 『悟った』と一緒じゃ・・」

 

 ほう!! ありがとさん!!

 又、木に登ろうかのう!!