少し、静かになったのう!!

 おう!!杉の頭が大分丸坊主になったわい!!

 

 じゃが面白いのう??

 杉の太い幹が地面から伸びておるが、

 途中で瘤の様になって、そこから何本も幹が分かれておる??

 

山門南東杉伐採工事 (54)あふたー





 和尚、杉の木は途中に瘤が出来、幹が分かれるのかやえ??

 

 「 おう狸殿、瘤がよう見えたなあ・・」

 「 杉じゃから瘤が有るのではない・・」

 

 「杉や檜は、本来幹が地面から一本伸びて

枝が横に互い違いに出てきて円錐形の様な樹形になる・・」

 

「 儂の寺の杉は、特に山門の近くの杉は、

今から40年程前に、その頃の植木屋さんと、

若かりし儂が二人で杉の頭を切ったのじゃ・・」

 

 「 その切り口が、途中の瘤じゃ・・」

 「 30年前に切った杉が、枯れずに残り、

 切り口から枝が伸び、更に上に伸び幹になったのじゃ・・」

 

 「 その頃は、儂も若かったので、梯子で木に登り、

    枝に足を掛けて更に上に登って伐採したのじゃ・・」

 

 その頃は狸の儂もまだ生まれてなんだので、

木を切ったことは知らなんだ!!

 

 木とは、強いもんじゃなあ??

 切られても、切られても枝を残し生き残るのじゃなあ??

 

 「 狸殿そうでも無いぞ・・」

 「 木を切る時期が大切じゃ・・

 又、幹のどこできるかが非常に難しいのじゃ・・・」

 

 へえ?? 何時・何処で切っても同じじゃないのか??

 

 「 いやいや、針葉樹は、

冬に切らねばそれ以外の時期は枯れる時がある・・」

 「 落葉樹は、葉っぱの落ちた冬に同じように切る・・」

 

 「 木が、水を地面から吸って、

枝にあげる時に切ると枯れやすい・・」

 

 へえ、難しいのう!!

 それで、和尚が寒い冬に、紅葉の枝を剪定していたのか??

 

 「 そうじゃ・・ 

枝ぶりを考え、夏の大きさを予想し冬に切るのじゃ・・」

 

 「 又、幹や枝を切る際は、

切り残す枝を考え、切り残す枝の少し上で切らないと、

切った処から枯れる時がある・・」

 

 和尚が気の向くままに切っとる思っておったが、

               案外頭が要るのじゃなあ!! 

 

 「 そうじゃ、こういう諺がある・・

 『桜を切る馬鹿!!梅を切らぬ馬鹿!!』・・」

 

 なんじゃそれは??

 馬鹿は分かるが!!

 

 「 桜は枝を切ると枯れるのじゃ・・」

「 梅は枝を切ると枯れるのではなく、花を付ける・・」

 

さよか、儂は、梅におしっこをかけたわな!!

 馬鹿の一人かな?????