2021年10月


 

 和尚!!

 どこじゃ??

 

 和尚!!

 どこじゃ??

 

 「 煩いなあ・・」

 「 狸殿、いったいどうした・・」

 

 いやいや、和尚!!

 上の方に達磨さんが御座る!!

 

 「 達磨さん・・」

 「 それも上の方に??」

 

 「 そりゃ、達磨さんも昔の方じゃて、

 お亡くなりになっておるさかい、上に居られるわな・・」

 

 そうでは無く、天国! 浄土! では無く!!

 木の上じゃ!!!!!

 

 「 木の上に達磨さんが御座るとな??」

          「 そりゃ狸殿、そりゃ無いわな・・」

 

 「 木の上に達磨さんが居られるわけが無いわな・・」

            「 石の上には居られてもな・・」

 

 うにゃ!! 木の上じゃ!!

 

 「 どの木の上じゃ??」

 お墓に行く道の、牛さんのおじゃる所じゃ!!

 

 「 ああこの木か・・」

 そうじゃ、この木に、そりゃあれに達磨さんが??」


タイサンボク 実1

 

 「 成程、狸殿が勘違いするのも分かるのう・・」

 「 達磨さんの様に見えるわなあ~~・・」

 

 そうじゃろ、少し白いが達磨さんじゃろ!!

 お釈迦様の様に、葉っぱの真ん中に御座る!!

 

 「 いやいや、狸殿・・」

 「 あれわな、ダルさんでは無いのじゃ・・」

 

 それじゃあ何じゃ?????

 「 あれわな、タイサンボクという木の “ 実 ”じゃ・・」

 

 何じゃ、花の木の実かいなあ!!

 食えるんか?????

 

 「 儂も未だ食したことは無いわ・・」

 「 じゃが狸殿言うように、

見ようによっては達磨さんじゃなあ・・」

 

 「 この2~3年、タイサンボクの木が大きくなり過ぎ、

     上の方を切り詰めたので、花が下に咲いた・・」

 

 「 それで、木の実が目に入ったのじゃ・・」

 「 これからは、タイサンボクで無く、

          “ 達磨の木 ” と呼び名を変えるか・・」

 

 儂ゃ、どっちでもよいわ!!

            食い物として美味いかじゃ!!

 

 それに上の方じゃて、獲れんからのう!!!

              ほな失礼します!!!!!


タイサンボク 実2

 


赤トンボ 休憩
 

 

和尚、何をしとる??

 

そんなとこに座って??

          又、左の腕を前に突き出して??

 

そこは、庭への出入り口ではないか??

         人が入ってきたら邪魔じゃろう!!

 

何でそんなとこに??

    何でまた、じっとそんなに長く座っておる??

 

それも左腕を突き出して??

 

「 おう狸殿・・」

「 よう見てみ・・」

 

よう見ても、儂には和尚の突き出した腕しか見えんがなあ??

 

「 左腕の真ん中辺りを見てみ・・」

 

うんにゃ? 

何か赤いもんが居るのう??

 

うんにゃあ!!

赤トンボではないか!!

 

「 そうじゃ、赤トンボじゃ・・」

 

 たしかに赤とんぼ居るが、

  和尚はじっとして動かんのじゃ??

 

 「 出入口じゃが、少し針金を使う仕事をしておった・・」

 「 そこで、少し腕を伸ばしたら、赤トンボが止まった・・」


 「 “ こりゃ、そこを退け と言ったが、

何と、赤トンボが “ 少し休ましてくれ ” と言いおった・・」

 

 「 “ 儂ゃ忙しい ” と言うたが、

  赤トンボも “ 儂も飛び続けてしんどい ” 言いおった・・」

 

 「 しゃあないので、休憩所として、

              左腕を貸しておる所じゃ・・」

 和尚、暇やのう!!

 

 「 儂も忙しいが、赤トンボと一緒に休むのもよかろう・・」

 

 まあ、和尚も忙しからのう!!

 ご自由に!!!

 

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