2021年08月

凛 白水仙

いやあ~!!

        素敵じゃのう!!

 

 凛としておる!!

 

 儂ら狸には出来んことじゃ!!

       何で? あんなに “ 凛 ”としておる!!

 

 風にそよぐだけじゃ!!

 

 日の昇る朝一から凛として!!

       昼から、暑くなれば直ぐに身を隠す!!

 

 何と素敵な生き様じゃ!!

               儂の彼女の様じゃ!!

 

 色は白く、水の上で “ 凛 ”と咲いておる!!

           白水蓮は素敵な花じゃのう!!

 

 大雨の後で、少し水が引いたので、

         水面より少し上で花が全開じゃ!!

 

 気が付くのが遅かったが、

  花弁を上下左右に開き、咲き誇っておる!!

 

 しかし、咲き誇っておっても、嫌みが無い!!

              よい花じゃのう!!!!

 

 昼を超え、日が少し傾くと、

 直ぐに花を窄(すぼ)め自分の世界に入りよる!!

 

 人間どもも、水仙の様に穢れの無い自己主張をすればよい!!

 

 この健気さ!!

 
 いいなあ!!

 

 早よ彼女に会いに行こう!!!!

 

 おんにゃあ??

 

 畑が新しく出来た??

 と言うより、畑にするために耕しておるのか??

 

 落ち葉が一杯ある所じゃが、

         耕して畑にするのかのう??

 

 とは言え、椎の大木が有る下じゃて、畑になるかあ??

 椎の大木の下には、紅葉の木も有り、

           お日さんが一切当たらんのに!!

 

 和尚は、耕して何を植えて、育てるつもりじゃ??

 おう、丁度よいは、向こうから和尚が来たわいなあ!!

 

 和尚、この落葉を耕して、何を植えるんじゃ??

 「 おう、狸殿、久しぶりじゃのう・・」

 

 大雨が降って、食事が碌に出来なかったので、

        食べ物を見つけるのに一生懸命じゃった!!

 「 成程・・ この前の大雨は大変じゃった・・」

 「 居宅の裏の崖が地滑りし、この何日かは大変じゃった・・」

 

 ああ!! それでショベルカーの音が煩かったのか!!

 和尚は、和尚の仕事の外に、植木屋・草取り・土方と、

               仕事がようけ有るのう!!

 

 ショベルカーの運転手もするからのう!!

 

 で、和尚、何でこんな落ち葉の所を耕しておる??

 「 うん!! 狸殿が耕したのではないのか??」

 

 うんにゃあ、狸の儂が何で耕さないかん??

 「 狸殿が、餌を探すために掘ったのではないのか??」

 

 うんにゃあ!! 儂ゃ、しとらん!!

 「 そうか、狸殿が餌取りで掘ったと思うた・・」

 

 「 そうか、狸殿でなければ、アライグマかアナグマかのう??」

 

 「 落ち葉が有ると、ミミズが増え、

又、秋によい声を聞かしてくれるコオロギが増えるのじゃ・・」

 「 そこには、モグラも増えるし、それ以外の虫も増えよる・・」

 

 「 自然とはそう言うものじゃが、

 一般の方々は、“ 落ち葉が残っていますねえ”と仰る・・」

 

 「 “ ミミズとコオロギの家 と説明すると、

理解いただけるが、通りすがりでは、掃除忘れじゃ・・」

 

 「 まあ、世の中はそんなもんじゃて、

気にしてもしゃあないが・・」

 

 和尚、狸の餌場所にはせんから、心配せんといて!!

 儂ゃ、和尚がミミズやコオロギを増やそうと思ってる、

              落ち葉の所は荒さんわな!!

210808百日紅白4



おんにゃあ??

和尚が、向こうで突っ立ておる!!

 

心なしか、肩が落ちて寂しそうじゃ!!

 

あの元気な和尚がどうしたのじゃ??

失恋したのかのう!!

 

ひゃあ!! 

和尚に聞いてみよう!!

 

和尚、どうした?

元気が無いのう??

 

「 おう、狸どの・・」

「 元気が無いのが分かるかえ・・」

 

肩が落ちとるじゃあないか!!

 

「 そうなんじゃ・・

 寂しいてなあ・・・・」

 

どうしてじゃあ??

 

「 折角の花が散ってしもうた・・」

「 夏に100日も咲く花が・・」

 

「 この季節外れの長雨で・・」

「 花を一生懸命咲くために、この夏を待っておった木が・・」

 

それはどの花じゃ??

 

「 ほれ、儂の横の木じゃ・・」

 

確かに花は無いのう!!

 

これは何の花じゃ??

 

「 この花が、100日咲く花で・・」

「 別名 “ 百日紅 (さるすべり)”じゃ・・」

 

和尚 “ 紅 ”となっておるが、落ちている花弁は “ 白 ”じゃが!!」

 

「 そうじゃ、これは白の百日紅じゃ・・」

「 一生懸命、夏に花を付けて、楽しまさしてくれる花じゃが・・」

 

「 この長雨で、花が全部落ちてしもうた・・」

 

「 温暖化は、花も狂わせ、可哀想じゃ・・」

「 人間は、温暖化を防止せにゃいかん・・」

 

和尚は人間じゃて、頑張りや!!

 

失恋と思うたが、花に失恋したか!!

儂ゃ狸やで、自然に生きまっさ!!

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