白式部 (1)

和尚!! 何で春では無いのに、

ここ、あそこと色々鮮やかなんじゃ??

 

 「 おう。狸殿・・」

 「 下ばかり見ず、上も見とるのか??」

 

 当然じゃ!!

 狸じゃて、餌を求めて下ばかり見てるわけでも無いぞう!!

 

 人間じゃて、地面に金が落ちて無いか、

           下ばかり見て歩いておる輩が居る!!

 

 この前は、町の道を散歩していると、

  自販機のお釣りの落ち口に手を入れて、

銭が残っていないか見ているやつが居った!! 

 

 「 そうじゃなあ・・

 秋じゃのに暑い日が続いておるが、鮮やかな色合いじゃ・・」

 

 「 秋には、白・紅・金色・橙・・・

       色々な実が色彩を彩り始めておる・・」

 

 「 白式部・紫式部・ピラカンサ・柿・・

    少し前には、水引の赤白も鮮やかじゃった・・」

 

梅擬 (4)



 「 この前に “ 達磨さん ” と狸殿が言っておった、

   タイサンボクも白色の実を付けておったなあ・・」

 

「 金木犀の花も、この前まで金色の小さな花を付けておった。」


金木犀 (3)


 よう見渡したら、そこら中に色合いが有るもんじゃ!!

 

見てるようで見ていない??

目には入っているが、見過ごしている!!

 世の中と一緒で、目をひん剥いて見てないと、

       分からん内にどこかに行ってしまう!!

 

 花や実の移ろいも、早いものじゃなあ!!

 

 儂も、移ろわんうちに飯としよう!!

 ほな!! 和尚、失礼しまっさ!!


ピラカンサ(4)